抄録
心臓移植を前提とし, ヒスチジンとATRを添加したSt.Thomas心停止液による低温単純浸漬12時間保存を行い長時間有効な心保存液の検討を行った。雑種成犬 (体重8~12kg) を使用し, 交差灌流実験の摘出心で再灌流後のEmaxを (1) St.Thomas液 (ST), (2) ヒスヂシン添加St.Thomas液 (SH), (3) ヒスチジン・ATP添加St.Thomas液 (SHA) による4℃単浸漬保存時間について検討した結果, STで4時間, SHで6時間, SHAで12時間の心保存の可能性が示唆された。この結果から, ST4hとSH12hの2群の同所性心移植実験を行い, ヒスチジン, ATP添加の心保存増強効果を検討した。その結果, SHA12h群はST4h群と比較してLVEDP2.3mmHg, SV (回復率) 86%, maxdP/dt/P52.1/sec, A-VDO27.9ml/Lと, 有意に良好な値を示し, 病理所見でもSHA12h群は心筋構造を良好に保ち, SHA液の長時間心保存における有用性が示唆された。