日本外科系連合学会誌
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内視鏡下外科手術
特に早期胃癌に対する胃部分切除術について
長山 正義吉川 和彦加藤 保之石川 哲郎西口 幸雄曽和 融生
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1995 年 20 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

近年, 早期胃癌に対する臨床病理学的なデータが集積され, 早期胃癌のなかにはリンパ節転移がないと確信される症例が少なからずあることが明らかとなっている。このような症例では内視鏡的粘膜切除術 (EMR) の適応となるが, 時にリンパ節転移がないと確信できる症例でも病巣が大きい場合や瘢痕などのためEMRが不可能なことがある。今回, 教室における胃癌切除例2136症例 (1975年~1993年) のうち早期胃癌806例を用いて, 胃癌切除例の壁深達度からみた早期胃癌の期間別推移, 早期胃癌の肉眼型とリンパ節転移率などを検討するとともに, EMRが不可能な症例に対してわれわれが行っている内視鏡下牽引式胃部分切除術 (Endoscopic Tractional Partial Gastrectomy, ETPG) を報告した。隆起型と1cm以下の陥凹型m癌おび1cm以下の隆起型sm癌ではリンパ節転移がみられず, このような症例にはEMRやETPGが有用と考えられた。

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