1997 年 22 巻 6 号 p. 850-853
1993年4月から1997年4月までに9例の漏斗胸患者に対して手術を施行した。胸骨翻転重畳術 (sternal turnover and overlap, STO-O) または胸肋挙上術 (sterno-costalel evation, SCE) を基本術式とし, 若干の工夫, 症例に応じた変法を加えた。両術式の改良として肋骨弓の突出を矯正するために第6, 7肋骨を短縮した後に20~30度回転させて再縫合した。肋軟骨の縫合面がずれるのを予防するため接合面を軟骨の長軸に対して斜めにした。筋の萎縮を防ぐため筋層の修復に留意した。皮膚切開, 縫合に形成外科的手法を応用した。また変法として1例では翻転させる胸骨を1肋間少なくし, 上部の肋軟骨に短縮を加えた。2例で左右非対称の数の肋軟骨を短縮した。これらの変法, 改良によって良好な結果が得られた。