日本外科系連合学会誌
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巨大肝海綿状血管腫の2例
山内 希美田辺 博可知 宏隆
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1997 年 22 巻 6 号 p. 950-956

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抄録

肝海綿状血管腫は, 画像診断の進歩によりその発見頻度が高くなってきているが, 外科的手術の対象となるものは比較的少ない。今回われわれは, 巨大肝海綿状血管腫の2例を経験した。症例1;52歳, 女性。腹痛, 嘔吐があり, 体重減少も認めた。臍下5横指まで腫瘤を触知した。肝左葉にダイナミックCTにて経時的に濃染され, MRIにてT1でlow, T2でhigh intensityを示す腫瘤を認め, 血管造影にて左肝動脈領域にcotton wool like pooling像が得られた。肝血管腫と診断し, TAE後肝左葉切除術を施行した。切除標本の重量は2680gであった。症例2;54歳, 女性。上腹部痛を認め, 精査したところ, 肝右葉に造影CTにて周囲より濃染され, MRIにてT1でlow, T2でhigh intensityを示す腫瘤を認めた。肝血管腫と診断し, 肝右葉切除術を施行した。切除標本の重量は1200gであった。巨大肝血管腫の手術適応, 手術術式について文献的考察を加え, 検討し報告した。

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