80歳以上高齢者開腹手術症例について, 周術期管理と術後合併症を中心に概説をした。対象となる疾患は, 悪性腫瘍では大腸癌や胃癌, 良性疾患では胆石症が多い。そして, 併存疾患 (高血圧, 慢性閉塞性肺疾患, 脳血管疾患など) を有する症例が多いため, 術後合併症や手術直接死亡率 (直死率) が高い。術前評価は生物学的年齢に基づいて行い, 手術リスクは個々の臓器機能によるものではなく, 全身状態というグローバルな指標に依存している。よって, 個々の症例に合わせた柔軟な治療計画をたて, 術後のQOLを考え合わせた外科療法を選択すべきものと考える。