日本外科系連合学会誌
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80歳以上の高齢者大腸癌の治療戦略
山村 卓也小笹 貴夫須田 直史松崎 弘明磯貝 晶子足立 幸博木村 正之
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キーワード: 高齢者, 大腸癌, 予後, 合併症
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1999 年 24 巻 5 号 p. 710-714

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抄録

80歳以上の高齢者大腸癌症例36例を対象として臨床病理学的所見, 合併症, 予後などから高齢者大腸癌の治療戦略を分析検討した。臨床的には高齢者では合併疾患を有する頻度が高く, 血中リンパ球数が少なかった。病理組織学的事項については高齢者とコントロールの間に差はみられなかった。リンパ節郭清については高齢者ではD3の頻度がコントロールと比べ低かったが, 根治度に差はみられなかった。しかし術後合併症の発生率は高齢者では44%でコントロールと比べ高く, 最も多いものは術後せん妄や見当識障害などの精神障害であった。高齢者の5年生存率は53.5%でコントロールと比べ差はみられなかったが, curCの予後は極めて不良であった。以上から高齢者大腸癌の治療戦略はQOLを重視した治療を優先し, 術後合併症を起こさないように努め, リンパ節郭清はD2を原則とすべきである。非治癒切除例についてはQOLを損なわないような治療を考慮すべきである。

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