1999 年 24 巻 6 号 p. 888-891
大腸の原発性扁平上皮癌, 腺扁平上皮癌を3例経験したので報告する。症例1は68歳, 男性。1年4カ月前に胃癌で手術を施行し, 高分化腺癌, se, n2 (+) の診断。腹痛, 腹部膨満あり, 精査で, 盲腸部に1型の腫瘍を認め, 回盲部切除術を施行。腫瘍は大部分が扁平上皮癌で, リンパ節転移巣に一部腺癌がみられ, 腺扁平上皮癌, ss, n1 (+) の診断。術後6カ月目に胃癌死した。症例2は61歳, 女性。肛門出血の精査で, 肛門縁から2.5cmの下部直腸にIs-v型の腫瘍を認め, 経肛門的腫瘍摘除術を施行。扁平上皮癌, smの診断で, 腹会陰式直腸切断術を行い, 遺残なく, n1 (+) 。術後4年8カ月無再発生存中。症例3は68歳, 男性。血便の精査で, 肛門縁から3cmの下部直腸に1型の腫瘍を認め, 生検で扁平上皮癌の診断。腹肛門式直腸切除術 (結腸肛門吻合手術) を施行し, 扁平上皮癌, a2, n1 (+) の診断。術後6カ月年再発生存中。