2000 年 25 巻 1 号 p. 28-31
胃中・下部早期癌に対する迷走神経・幽門輪温存幽門側胃切除兼J型空腸嚢間置術後10症例 (D1+7, 8aリンパ節郭清, 根治度A : A群) と幽門側胃切除術後30症例 (D1+7, 8aリンパ節郭清, 根治度A : B群) について, 術後1年以上経過 (平均1年2カ月) した時点でのQOLを比較検討し, 以下の結果を得た。1) A群では, B群に比較して, 有意に食欲が有り (p=0.0448), 食事摂取量も多く (p=0.0001), 体重減少は少なかった (p=0.0001) 。また, 有意に腹部膨満感と腹鳴も少なかった (それぞれp=0.0350, p=0.0168) 。2) A群では, B群に比較して, 早期ダンピング症状 (全身症状), 晩期ダンピング症状, 逆流性食道炎症状 (胸やけ, 逆流感, つかえ感など), 悪心, 腹痛, 下痢なども少なかったが有意差はなかった。以上より, A群はB群に比較して, 術後QOLは良好であった。