2000 年 25 巻 5 号 p. 765-769
集学的治療により根治しえた原発巣不明頸部扁平上皮癌の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。症例は64歳男性.左頸部に8.0×4.5cm, 弾性硬, 可動性のない腫瘤を触知した。穿刺吸引細胞診でClass V, SCCと診断した。原発巣を検索したが判明しなかった。平成5年6月から左頸部に放射線治療 (計40Gy) と経口化学療法 (UFT600mg) を開始し, 平成5年8月, 左頸部腫瘤摘出術および左頸部郭清術を施行した。病理組織学的所見では異物肉芽腫と診断, 悪性細胞は認めず, 頸部リンパ節転移も認めなかった。術後補助療法としてUFT600mgを約2年間投与した。術後7年の現在, 無再発生存中である。