2000 年 25 巻 6 号 p. 851-854
経腹的根治的左腎摘出における網嚢からと, 下行結腸外側切開併用による到達法の有用性について検討した。到達法 : 体位は仰臥位。肋骨弓下横切開にて開腹する。大網の横行結腸付着部で切開し網嚢に入り, 膵尾部下面で横行結腸間膜前葉を横に切開する。ついで下行結腸の外側を切開し後腹膜腔に入り, 網嚢と下行結腸の外側から結腸脾靭帯を切断する。膵尾部, 脾臓を上方に, 結腸を下方へ授動する。その後左腎茎を処置し腎を摘出する。対象はpTlb (18例), pT3a (3例), pT3b (2例), pT4 (1例) 1)であった。平均出血量460ml, 平均手術時間が234分, 摘出重量が494gであった。下行結腸外側またはトライツ靭帯を切開して, 後腹膜腔に入る到達法と比してし, 腎茎, 膵尾部, 脾のオリエンテーションが容易で, 出血量の減少と, 手術時間の短縮をみた。