日本外科系連合学会誌
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隣接臓器合併切除を行った直腸癌の検討
とくに術前画像診断の有用性について
進藤 久和木田 晴海新海 清人本庄 誠司柴田 良仁古川 克郎
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2000 年 25 巻 6 号 p. 863-866

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抄録

癌浸潤を疑い隣接臓器合併切除を行った直腸癌16例について, とくに術前の画像診断の有用性について検討した。組織学的深達度si (ai) は6例 (37.5%) で, 癌浸潤を認めた臓器は, 膀胱2例, 前立腺3例, 膣1例であった。術前に隣接臓器浸潤を診断したのは7例で, うち5例に病理学的に癌浸潤が認められた。根治度Aが得られたのは10例で, うち4例は深達度si (ai) であったが, これらは4例とも術前の画像診断で隣接臓器浸潤を指摘されており, 適切に隣接臓器の合併切除が行われた。また, 遺残がみられた3例は, いずれも局所再発, 遠隔転移で12~17カ月で死亡した。隣接臓器浸潤といえども治癒切除を行うことで治療成績の向上に寄与すると考えられ, その上で, 術前に総合的に画像診断を行い, 隣接臓器を検索しておくことは重要であると考えられた。

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