日本外科系連合学会誌
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早期胃癌術後8年目に播種性骨髄癌症を来した1例
篠原 健太郎国崎 主税黒沢 治樹嶋田 紘
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キーワード: 早期胃癌, 骨髄癌症
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2000 年 25 巻 6 号 p. 887-891

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抄録

症例は69歳の女性で, 平成元年9月7日多発性早期胃癌 (M, post, Gre, IIc, 20×15mm, sm, sig, ly2, v2, INFβ;M, Gre, IIc, 20×20mm, sm, por1, ly2, v2, INFβ) の診断で幽門側胃切除術を施行され, 以後経過良好であった。平成9年5月21日, 全身の出血斑が出現し, 近医での骨髄穿刺で印環細胞を認め, 全身検索で他臓器に癌を認めなかったため, 早期胃癌による骨髄癌症と診断され, 当科に転院した。転院後FLEP療法 (5Fu-Leucovorin-Etoposide-Cisplatin) を開始し一旦改善したが, 治療開始104日目に硬膜下血腫で死亡した。病理解剖による組織学的検索では全身臓器への印環細胞の浸潤を認めた。本邦での文献報告では早期胃癌骨髄癌症は自験例が26例目で, 原発巣が未分化型, 陥凹型, リンパ節転移陽性例に多かった。同時性が20例と多く, 全身化学療法にも拘らず, 平均生存期間は4.6カ月と短かった。危険因子のある早期胃癌では, 厳重な経過観察が必要である。

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