日本外科系連合学会誌
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早期胃癌, 多発性胃腺腫, 小腸腫瘍を合併したRecklinghausen病の1例
藤井 義郎小尾 芳郎鬼頭 文彦福島 恒男中村 宣生
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2000 年 25 巻 6 号 p. 896-900

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抄録

患者は58歳の男性で, 幼少時よりRecklinghausen病と思われる多発性皮膚腫瘤を認めていた。心窩部痛を主訴に胃内視鏡検査で早期多発胃癌と診断され, 胃全摘術を施行した。手術中, 多発性小腸腫瘍がみつかり合併切除した。病理組織学的には, 胃病変は高分化腺癌と腺腫が混在し, 小腸病変はstromal tumor with skeinoid fibersであった。同腫瘍は1991年, MinK-W.が提唱したもので, 神経原性である可能性が指摘されている間質性腫瘍である。skeinoid fibersとは腫瘍細胞間の球状好酸性小体で, 電顕的には糸玉状のcollagen類似線維としてみえるものである。本症例はRecklinghausen病患者で, 腺腫と早期胃癌が混在し, また小腸腫瘍の診断について興味ある症例と思われたので報告する。

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