日本外科系連合学会誌
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遺伝性褐色細胞腫に対する皮質温存両側副腎摘出術の1例
高山 純一高見 博池田 佳史佐々木 裕三菅 重尚新見 正則稲田 英一亀山 香織
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2000 年 25 巻 6 号 p. 915-918

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抄録

巨大な両側の遺伝性副腎褐色細胞腫に対して, 副腎皮質温存両側副腎摘出術を施行した。症例は30歳の女性で高血圧を指摘されていたが, 動悸が出現し来院した。諸検査にて副腎褐色細胞腫と甲状腺髄様癌を合併した多発性内分泌腫瘍症2A型と診断された。CT検査で右副腎8×7cm, 左副腎6×5cmの腫瘍を認めた。開腹下にて両側副腎摘出術を行い, 正常な右副腎皮質をin situに温存した。病理診断は良性の副腎褐色細胞腫であった。術後, 副腎皮質ホルモン投与から完全離脱し, 血中コルチゾール値も正常範囲内にあった。副腎皮質ホルモンの内服の必要性や急性副腎不全の危険性を考えると, 副腎皮質温存両側副腎摘出術は有用な術式と考えられた。

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