日本外科系連合学会誌
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乳房温存療法における照射による腋窩制御の検討
坪井 一人竹大 禎一雨宮 厚近藤 誠
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2001 年 26 巻 1 号 p. 33-40

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抄録

われわれの施設では1983年より広い適応基準に基づき乳房温存療法を施行している。1990年7月までは, N (0) 症例に対しても腋窩郭清を施行していたが, それ以降は, N (0) 症例に関しては, 腋窩郭清をせず, 腋窩照射にゆだねている。今回, われわれは病期1期2期のN (0) 症例において, 腋窩照射のみで満足できる局所制御が得られるか比較検討した。腋窩治療として腋窩照射のみの群, 腋窩郭清に腋窩照射を加えた群を比較したが, 病期I期II期のN (0) 症例ともに腋窩再発率, 生存率に統計学的有意差を認めなかった。他施設のdataと比較しても遜色ない腋窩再発率であり, 病期I期II期のN (0) 症例において腋窩照射は生存率を犠牲にすることなく良好な局所制御が期待できる。また, 化学療法を始めとする術後全身療法を施行するにあたり, 腋窩リンパ節の病理組織学的診断を必要としなければ, 腋窩照射は腋窩郭清に取って代わりえる治療法であると思われた。

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