日本外科系連合学会誌
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術後低肺機能予測末梢型肺癌に対する絶対治癒切除の評価
根治性か肺機能温存か
松本 英彦柳 正和西島 浩雄愛甲 孝
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2001 年 26 巻 1 号 p. 86-90

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抄録

当科において切除された末梢型腺癌303例を対象として, 術前肺機能値から算出された術後の予測肺機能値から原発性肺癌に対する手術成績を再評価し, 絶対治癒切除の意義について検討した。術前肺機能値と切除予定肺区域数から予測される術後予測肺機能値を算定し術後予測%肺活量, %1秒量ともに80%を越える群を術後予測肺機能正常値群 (N群), どちらかが80%以下を低値群 (L群) とした。L群は術後の肺合併症発生率が高く肺炎死も多かったが, N群では他病死例は認めなかった。さらにL群において, 術後予測%肺活量, %1秒量ともに60%以下の症例の5生率は10%と著しく不良であり, 絶対治癒切除で期待される予後は得られていなかった。以上より, 術後予測肺機能正常群では, 絶対治癒切除により良好な予後を期待できるが, 術後肺機能が低値特に術後予測%肺活量, %1秒量ともに60%以下の症例では残存肺機能を温存する縮小手術を考慮すべきと思われた。

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