日本外科系連合学会誌
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成人原発性小腸軸捻転症の1例
阪口 晃行安川 十郎大東 雄一郎中島 祥介
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2001 年 26 巻 1 号 p. 95-97

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抄録

今回, われわれは成人の原発性小腸軸捻転症の1例を経験したので報告する。症例は52歳, 女性。既往歴に特記すべきことなし。平成11年6月6日, 夕食後より, 突然の腹痛および嘔吐が出現し, 当院救急外来を受診。下腹部に圧痛がみられたが, 筋性防御は認められず, 腹部X線にて左下腹部に少量の小腸ガスを認め, 腸閉塞を疑われ入院となった。次第に腹痛は増強し, 翌日外科紹介となった。腹部CT検査で腸間膜血管に向かって収束像を呈する腸間膜および肥厚, 拡張した小腸を認め, 腹水も伴っており, 小腸軸捻転症による絞掘性腸閉塞を疑い緊急手術を行った。手術所見では約150cmの小腸が360°捻転し, 壊死に陥っていた。壊死部の小腸を切除し, 端々吻合で再建した。他に誘因となる癒着, 腫瘍, 憩室, 回転異常などは認められず, 原発性小腸軸捻転症と診断した。原発性小腸軸捻転症は非常に稀な疾患であるが, 本症例はCT検査が非常に有用であった。

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