抄録
早期胃癌 (EGC) に対する縮小手術の妥当性を確認する目的で臨床成績を中心に検討した。対象は1998年末までの外科的胃局所切除術 (SLR) 126例, 幽門保存胃切除術 (PPG) 104例, 噴門側胃切除術 (PGR) 69例である。適応はSLRでは胃上中部3cm以下の隆起型とEGCと2cm以下の陥凹型m癌であるPPGは胃中部のEGCであり, PGRは胃上部EGCである。【成績】1) SLR : 再治療を要したのは6例 (再発2例, 多発4例) であった。他病死を除くと1例以外は全例生存中である。相対的適応として姑息的に施行した症例もあり, 他病死も含む5生率は81.8%である。2) PPG : 再手術が3例あり, 1例は原病死したが, 他は全例外来通院中である。3) PGR : 深達度診断の誤診もあり10生率は85.6%であったが, EGCに限ると10生率は100%であった。【結語】局在に応じてQOL, 遠隔成績を損なうことなく種々の縮小手術が可能であった。しかし, 再手術を余儀なくされた症例もあり, 根治性を損なわないよう細心の注意が必要である。