日本外科系連合学会誌
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mp胃癌に対する縮小手術の可能性
リンパ節転移からみた縮小手術の適応について
山本 重孝田中 康博伊藤 壽記弓場 健義岩瀬 和裕北川 透
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2001 年 26 巻 4 号 p. 1076-1080

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抄録
mp胃癌の臨床病理学的諸因子ならびにリンパ節転移状況を検討し, さらに腫瘍占居部位別に縮小手術が適応となりうるか否かを検討した。1974年から1998年の間に当院で切除したmp胃癌231例を対象とした。mp胃癌全体のリンパ節転移率は42.2%であったが, n3以上は1.7%と低率であった。リンパ節転移率は小腫瘍径, 早期癌類似型, 脈管侵襲のない症例において低頻度であった。とくに腫瘍径2cm以下の早期癌類似型の症例にはリンパ節転移を認めなかった。腫瘍占居部位別のリンパ節転移率は, U・UM領域癌では23.1%, M・ML領域癌では34.3%であったが, 腫瘍径2cm以下の症例では各領域ともリンパ節転移は近傍の1群リンパ節に留まっていた。これらの結果よりmp癌における噴門側胃切除術あるいは幽門輪保存胃切除術の適応は, 腫瘍径2cm以下の早期癌類似型症例を対象とするのが望ましいと考えられた。
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