日本外科系連合学会誌
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肺転移を有する肝芽腫に対する治療戦略
山岡 裕明檜山 英三横山 隆
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2001 年 26 巻 5 号 p. 1317-1323

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抄録

従来, 外科治療のみでは治療が困難な肺転移を有する肝芽腫進行例, 再発例の治療成績は悪く, 肺転移は予後不良因子の1つと考えられていたが, 最近集学的治療にて治癒する報告がなされてきている。当院では肺転移を有する進行肝芽腫の4症例を経験した。症例は全例男児で, 組織型は1例がpoorly differentiated typeで, 3例はwell differentiated typeであった。初診時肺転移を2例に認め, 1例は化学療法で肺転移は消失したが, 1例は化学療法後に外科的摘出術を行った。後者は肺転移巣が再発し, 再摘出後に2度目の骨髄移植を行って生存中である。また, 治療中肺転移を示した症例は2例で, 1例は化学療法で肺転移は消失し, 1例は外科的摘出術を行い骨髄移植を併用し, 良好な成績を得た。肝芽腫の肺転移に対しては, 化学療法を第一とし, その後に可能な症例では残存する転移巣を積極的に切除し, 骨髄移植を併用した大量化学療法が有効と考えられた。

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