日本外科系連合学会誌
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下血を主訴とした十二指腸脂肪腫の1例
田村 晃島田 長人蕪木 滋彦畠山 知昭村國 均金子 弘真柴 忠明
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キーワード: 十二指腸脂肪腫, 下血
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2001 年 26 巻 5 号 p. 1346-1350

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抄録

比較的稀とされる下血を主訴とした十二指腸脂肪腫の1例を経験したので報告する。症例は70歳, 男性。下血による出血性ショックで入院した。低緊張性十二指腸造影検査で十二指腸前壁に約4×3cmの隆起性病変を認め, 内視鏡検査では同部に潰瘍形成を伴う粘膜下腫瘍を認めた。CT検査では十二指腸内腔に突出した低吸収域の腫瘍を認め, 腹部血管撮影検査ではhypovascularな所見を呈していた。以上より十二指腸脂肪腫と診断したが, 超音波内視鏡検査にて比較的均一な内部echoを呈すものの深部で一部irreguralityを認めたため悪性も否定できず, また最大径が大きく出血も繰り返したため, 外科的切除を施行した。病理組織学的には脂肪腫であった。自験例を含めた本邦報告86例について文献的考察を加え検討した。

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