日本外科系連合学会誌
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胃全摘術後早期の上腸間膜動脈閉塞症救命例
再建挙上空腸残存のみでの経口栄養
高田 登原田 和則吉仲 一郎前田 将臣那須 二郎池田 良一
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2001 年 26 巻 6 号 p. 1439-1443

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抄録

胃全摘術後早期の上腸間膜動脈閉塞症を救命し, 在宅での経口摂取可能例を経験した。67歳男性。心房細動治療中。胃癌 (MU, 3型) で胃全摘+膵体尾部・脾・胆嚢合併切除, ρ型-Roux-Y再建を施行した (3T3, H0, P1, n3+M (16a1)) 。術後15日目に茶褐色水様便, 発熱出現。術後17日目腹痛はないが腹部膨満があり, 腹単写にて麻痺性イレウスを認めた。術後18日目呼吸状態の急速な悪化など敗血症性ショックに陥り, 腸管麻痺性イレウス, Kerckring皺壁の消失, 腹水にて再開腹した。上腸間膜動脈幹部拍動なく, 大半の小腸は壊死し, 小腸は挙上空腸のみ血流が保たれていた。上腸間膜動脈閉塞症の診断で小腸亜全摘 (胃全摘時の再建腸管のみ温存) +腸瘻造設を施行し, CHDFエンドキシン吸着療法等により救命した。再手術後45日目に腸瘻閉鎖+腸吻合術を施行し経口摂取可能となり, 初回術後5ヵ所月で軽快退院した。非経十二指腸再建腸管のみの短小腸病態ではあるが, 経口摂取 (普通食+成分栄養) のみで在宅日常生活が可能であった。

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