2001 年 26 巻 6 号 p. 1481-1485
症例は67歳男性, 腹痛と右下腹部腫瘤を主訴に当院初診, 腸閉塞の診断にて入院精査となった。大腸内視鏡検査にて盲腸に易出血性の潰瘍性病変を認め, 生検による病理組織学的検査にてB細胞型リンパ腫と診断された。盲腸悪性リンパ腫と診断し, 腫瘍による閉塞でイレウス症状が出現したため手術を施行した。手術は, 結腸右半切除術 (D3) が施行された。手術標本の病理組織学的診断は, MALTリンパ腫で腫瘍は漿膜下に達していた。術後化学療法として, CHOPを3クール終了し術後1年6カ月無再発, 生存中である。大腸MALTリンパ腫の報告は少なく, 今回, 稀な盲腸原発MALTリンパ腫の1例を経験したので報告する。