日本外科系連合学会誌
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急速な進行を認めた大腸型Crohn病の1例
内野 基池内 浩基山村 武平
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キーワード: Crohn病, 穿孔型, 大腸型
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2002 年 27 巻 1 号 p. 119-123

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抄録

症例は38歳男性。平成11年2月, 腹痛にて発症。Crohn病の疑いのもと, 内科的に加療を受けるも, 腹痛は持続していた。5月18日, 激しい下腹部痛を生じ, 汎発性腹膜炎の診断で近医にて緊急手術。盲腸に穿孔部位を認め, 回盲部切除術を受けた。術後, 病理組織にてCrohn病の確定診断がなされたが, 腹痛は持続し, 吻合部狭窄も生じたため, 当院紹介となった。当科では9月30日吻合部および横行結腸部分切除術施行。術後, 成分栄養療法を行うも軽度の腹痛は持続していた。平成12年3月頃より発熱, 腹痛の増強を認め, 横行結腸周囲の膿瘍および下行結腸の狭窄を認め, 4月19日結腸亜全摘, 回腸S状結腸吻合術を施行した。術後約2カ月間は良好に経過していたが8月初旬より発熱, 下腹部痛を生じるようになり入院。入院後イレウス症状が出現, さらに下腹部に, 腹膜刺激症状も認めるようになったため, 9月18日, 緊急手術を施行した。直腸穿孔に伴う, ダグラス窩膿瘍と回腸が直腸病変に巻き込まれたために生じたイレウスと診断し, 回腸人工肛門造設, 腹腔内ドレナージ術を施行した。現在, 成分栄養療法のもと良好に経過しているが, 16カ月間に4回の開腹手術を要した1例であった。

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