2002 年 27 巻 1 号 p. 128-131
1970年1月から1999年12月までの間に県立がんセンター新潟病院外科で手術施行された胃粘膜下腫瘍は101例であった。異所性膵は10例であり, 胃異所性膵の癌化症例を経験したので報告する。症例は, 57歳の男性で, 動悸, 貧血を主訴に来院した。大腸内視鏡検査でS状結腸に2型の腫瘍を指摘された。また, 上部内視鏡検査で胃前庭部大彎側に粘膜下腫瘍を認め, 術中迅速組織診にて腺癌と診断され, S状結腸切除術ならびに胃亜全摘術が施行された。病理組織診では, S状結腸の腫瘍は高分化型腺癌であり, 胃粘膜下腫瘍は異所性膵を伴う低分化型腺癌であった。胃粘膜下腫瘍の組織像は結腸癌の組織像とは明らかに異なっており, 肉眼的にも膵臓に腫瘍は認められず, 胃異所性膵より発生した癌と診断した。