日本外科系連合学会誌
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非クロストリジウム性ガス壊疽を伴った多発性褥瘡の 1 例
褥瘡から生じたガス壊疽あるいは壊死性筋膜炎の本邦報告例の集計
中野 峰生近藤 智雄五十嵐 敦門脇 淳日ノ下 文彦
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2002 年 27 巻 1 号 p. 132-138

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抄録

壊死性筋膜炎や非クロストリジウム性ガス壊疽の報告は多数あるが, 褥瘡から生じたと考えられる症例は比較的少ない。今回われわれはTh10以下の脊髄損傷に多発性褥瘡を伴い, このうち右坐骨部褥瘡から非クロストリジウム性ガス壊疽を生じた症例に対して治療する機会をえ, 救命ならびに褥瘡を全て閉鎖できた。また, 褥瘡から生じたガス壊疽あるいは壊死性筋膜炎の本邦症例を集計したところ, 褥瘡から生じたガス壊疽はほぼ非クロストリジウム性で死亡率は41.4%であった。また, 糖尿病の合併は44.8%でその死亡率が38.5%であったが, 非糖尿病でもその死亡率は50%で予後に大差はなかった。これは, 非糖尿病性であっても肢体不自由や精神神経機能障害の合併を有することが多いため, 診断が遅れて病状が極度に悪化して治療に反応し難いため, 予後が悪くなるのではないかと推測した。

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