甲状腺疾患に対するエタノール注入療法 (以下PEIT) は, 肝臓, 腎臓と同様に嚢胞性病変から, その明らかな臨床的効果が認められ, 現在では機能性結節, および甲状腺性腫瘍にも臨床応用がなされている。注入量, 施行間隔, 効果判定およびその合併症に関しては, 未だ議論中であるが, われわれは, 腫瘍体積あたりの注入量ではなく, カラードプラ観察下に穿刺, 注入を行い, 栄養血管の血流消失を効果判定の基準としており, 必要最小限の注入にて, 十分な効果を得ることが出来る。また, 超音波造影剤をもちいた甲状腺結節47例のPEIT治療群の検討では, 39例 (82.9%) に十分な造影効果が認められ, 造影されなかったものは3例 (6.4%) であった。超音波造影剤を用いたカラードプラ下PEITは, 目的とする栄養血管の描出, 確実な血流遮断の確認が可能となり, 更なる治療成績の向上と合併症の軽減が期待できる。