日本外科系連合学会誌
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乳癌におけるHER-2遺伝子の発現と臨床病理学的因子との関連
根本 有紀子大川 哲弥添田 良知伊藤 勇宮地 和人難波 美津雄砂川 正勝
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2002 年 27 巻 6 号 p. 835-840

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抄録

原発性乳癌におけるHER-2/neu遺伝子 (c-erbB-2以後HER-2) の過剰発現は病状の急速な進行, 生存期間短縮などの予後不良性や従来のホルモン療法に対する治療抵抗性やアンスラサイクリン系抗癌剤に対する感受性の増強などを予測する指標とされている。今回我々は原発性乳癌組織におけるHER-2発現を免疫組織化学的に検討し臨床病理学的因子との関連について検討した。HER-2の発現は閉経後, 腫瘍径3cm以上, リンパ節転移3個以上, ER陰性, PgR陰性と関連して発現率が高かった。HER-2陽性例の5年生存率は陰性例に比べ有意に低かった。またPgR (-) HER-2 (+) 例, n (-) HER-2 (+) 例, 腫瘍径3cm以上HER-2 (+) 例の5年生存率は有意に予後不良であった。多変量解析の結果, HER-2はリンパ節転移とともに独立した予後不良因子であった。

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