日本外科系連合学会誌
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抗癌剤投与による胃癌組織のアポトーシス誘導とミトコンドリア遺伝子の変動に関する免疫組織学的検討
田口 泰三宮地 和人金子 広美佐々木 欣郎難波 美津雄砂川 正勝
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2002 年 27 巻 6 号 p. 841-847

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抄録

術前補助化学療法を施行した進行胃癌41例を対象としてアポトーシス, p53およびミトコンドリア遺伝子産物に対する免疫組織学的検討を行った。UFT-E 400mg/bodyを7日間投与し, 抗癌剤投与前後におけるアポトーシスと各遺伝子産物の変動を比較した。全対象症例での検討では, 抗癌剤投与後のアポトーシス, Apaf-1, Baxは有意に増加していたが, Bcl-2は逆に減少していた。さらに, アポトーシスと遺伝子産物の変動では, Apaf-1, Bcl-2, Baxはアポトーシスに積極的に関与している事が示唆された。Stage別の検討では, Stageが進むに従ってアポトーシスが誘導されており, 術前補助化学療法の意義が認められた。ミトコンドリア遺伝子とアポトーシス誘導との関連についての検討では, Bcl-x, p53が抗癌剤投与前に低値の症例でアポトーシスが誘導されやすい傾向が認められ, 未治療の胃癌生検組織においてBcl-x, p53が低値の場合, 化学療法が有効な可能性が示唆された。

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