日本外科系連合学会誌
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術前診断し得なかった直腸Gastrointestinal Stromal Tumorの1例
高橋 孝夫佐野 文鷹尾 博司杉山 保幸国枝 克行下川 邦泰佐治 重豊
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2002 年 27 巻 6 号 p. 893-897

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抄録

術前診断し得なかった下部直腸で壁外性発育を示したgastrointestinal stromal tumor (GIST) の1例を経験したので報告する。症例は54歳, 男性。主訴は排便障害。大腸内視鏡検査, 注腸造影検査にて下部直腸を壁外性に圧排した腫瘍を認めた。骨盤CT, MRI検査にて直腸周囲に8×6cm大の腫瘍を認めた。経肛門的針生検にて低分化腺癌を疑われた。画像診断で直腸壁由来の腫瘍が最も示唆されたが転移を否定できず, 上部消化管, 泌尿器科領域の精査を行ったが確定診断不明のまま手術した。直腸壁由来の粘膜下腫瘍と判断し, 腹会陰式直腸切断術を施行した。病理組織学的検査では直腸固有筋層から連続性に腫瘍性病変が存在し, 免疫染色にてVimentin陽性, SMA陰性, S-100蛋白陰性, CD34とc-kitが陽性で, MIB-1染色で陽性細胞は3%であった。以上より直腸に発生したGIST, uncommittedtypeと診断した。

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