2003 年 28 巻 2 号 p. 164-166
重症感染症においてはリンパ球のなかでもT細胞の減少が観察されるが, その動態に関しては不明な点が多い。重症肺炎患者のT細胞のFas発現とアポトーシスの関連を検討した。患者T細胞には, T細胞レセプター刺激にてアポトーシスが誘導された。また, このアポトーシスはIL-2の投与により救済された。患者のT細胞のアポトーシスにはCD45RO+メモリーT細胞のFasが関与していた。また, 患者血清中に可溶性IL-2レセプターの増加が認められた。これより, 重症感染症患者ではT細胞は「活性化による細胞死 (activation-induced cell death; AICD)」と呼ばれる現象に陥っており, その救済にはIL-2の投与が有効であると考えられた。