2003 年 28 巻 6 号 p. 1008-1010
自己判断式退院の目標 (体温, 食事, 疼痛, 作業, 清潔, 血液検査の6項目) を付加した大腸癌手術クリニカルパス (CP) におけるドレーン管理の重要性について閉鎖式持続吸引ドレーン導入前後を比較検討した。2002年1月から大腸癌のCPを使用した14例をO群, 7月から閉鎖式持続吸引ドレーンを導入しCPを使用した31例をN群とした。ドレーン抜去日に両群間に差はなかった。両群間にSSI発生率, 負のバリアンス発生率に有意差はなかったが, N群でSSIが負のバリアンスになることは比較的少ない傾向がみられた。清潔の項目を含め6項目の目標達成時期に差はなかった。必要としたドレッシング回数はN群で有意に少なく (p<0.01), 業務軽減および経済効果を認めた。また, ドレーン排液量の記載がドレーンの存在を明確とし, 誤迷入などのリスクマネージメントにもすぐれていると考えられた。ドレーン管理はCPの展開に重要な因子であることが示唆された