日本外科系連合学会誌
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術前CTが診断に有効であった右傍十二指腸ヘルニアの1例
桑原 公亀石田 秀行横山 勝都築 信太郎大澤 智徳中田 博橋本 大定
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2003 年 28 巻 6 号 p. 1017-1019

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抄録

右傍十二指腸ヘルニアは比較的稀な疾患である。イレウス・腹膜炎などで緊急手術を受けた時に診断されることが多い。今回, CTが術前診断に有効であった右傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は, 31歳, 男性。突然の上・下腹部痛を主訴に近医を受診し, 腸閉塞と診断され当科を紹介された。受診時右上腹部に硬い腫瘤を触れた。腹部CTでは, 上腸間膜動脈の右方に巨大な嚢状構造と, その中に大部分の空・回腸および腸間膜を認め, 嚢状構造物の外側に腹水を認めた。以上より右傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い, 緊急手術を施行した。開腹所見はTreitz靱帯の右下方に径10cmのヘルニア門 (mesentericoparietal fossa) を有する右傍十二指腸ヘルニアで, 空・回腸のほぼ全長が嵌入し, ヘルニア嚢内で小腸が360度捻転した絞扼性イレウであった。本疾患の診断に腹部CTは有用であり, 術前の画像診断で本症が疑われた場合, 迅速な外科的処置が必要である。

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