日本外科系連合学会誌
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右側結腸癌によるイレウスをきたした高齢寝たきり患者の2手術例
関野 考史杉本 琢哉三鴨 肇堀谷 喜公
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2003 年 28 巻 6 号 p. 1029-1033

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抄録

高齢化社会を迎え, 大腸癌によりイレウスを生じる高齢寝たきり患者も増えると思われる。症例1は寝たきりで発語のない74歳の男性である。CT, 超音波検査で上行結腸癌によるイレウスを疑い, イレウス管を挿入した。術前から肺炎が存在した。右半結腸切除を施行したが, 術後嚥下困難となり内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) を行った。症例2は寝たきりで発語のない81歳の女性である。CT, 超音波検査で盲腸上行結腸癌によるイレウスと診断し, 右半結腸切除施行。術後経口摂取できずPEGを行った。2例ともに胃瘻からの経管栄養は良好であった。診断にはCT, 超音波検査が有用であった。右側結腸癌によるイレウスはイレウス管により減圧可能であり, 高齢寝たきり患者であっても比較的安全に腸管吻合が可能である。家族への十分なinformed consentと注意深い周術期管理を前提に, 高齢寝たきり患者においてもイレウスを生じた右側結腸癌は手術適応になりうると考える。

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