日本外科系連合学会誌
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小切開法による甲状腺乳頭癌手術症例の検討
大西 一朗津川 浩一郎中村 万理清水 康一太田 哲生三輪 晃一
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2003 年 28 巻 6 号 p. 997-1000

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抄録

小切開法による低侵襲甲状腺手術を甲状腺乳頭癌の症例 : 14例に試み11例に施行しえた。11例の皮膚切開創の平均は4cmであった。術式は患側葉+峡部切除で, 全例気管周囲のリンパ節郭清を行い, 4例でD2a郭清。手術時間は95~195分 (平均137.6分), 出血量は20~120ml (平均49.5ml) で, 術後出血は認められなかった。術後疼痛は軽度であり, 嗄声, 知覚麻痺などの合併症は認められなかった。従来法ヘコンバートした3例は, 被膜浸潤やリンパ節転移を認めた症例で, いずれも襟状小切開を延長し, 前頸筋を剥離脱転してD2b郭清を施行し得た。以上, 甲状腺乳頭癌に対する小切開法は合併症もなく低侵襲であり, 必要に応じて従来法へのコンバートも容易であった。本法は患者のQOLを損なわず, 美容的面からも有用な術式であると考えられた。

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