日本外科系連合学会誌
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特発性巨大結腸症の1例
伊藤 元博國枝 克行北村 文近近石 登喜雄
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2006 年 31 巻 5 号 p. 885-888

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抄録

症例は68歳, 男性。4年前にS状結腸軸捻転症にて他院で手術を施行した。その後慢性便秘, 腹部膨満が出現し, 下剤, グリセリン涜腸液を用いて排便していた。上記処置にても腹部膨満が増大したため, 精査治療目的にて当科に紹介入院した。腹部レントゲン, CT検査にて上部直腸から上行結腸までの著明な拡張を認めた。絶食完全静脈栄養 (TPN) 管理にても横行結腸の拡張が21cmと改善せず, 保存的治療は困難と考え, 十分なインフォームドコンセントの上, 巨大結腸症の診断にて結腸亜全摘術, 上行結腸瘻造設術を施行した。術後の病理検査にて大腸のAuerbach, Meissner神経叢の神経節細胞に異常は認めず, 最終的に特発性巨大結腸症と診断した。術後便秘症の再発を認めていない。薬物療法に反応しない特発性巨大結腸症は, 拡張した大腸の外科的切除が有効である。

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