2024 年 32 巻 3 号 p. 328-329
スポーツ医学の分野で脳振盪への取り組みをしっかりと議論すべきという機運が国際的に高まったのは2000年代に入ってからである.アメリカンフットボール,ボクシングなどの競技において,繰り返す脳振盪に起因すると推測される重篤な後遺症事例や死亡例が相次いで報告され,また,一部のケースが訴訟問題に発展したことも背景にある.これを受けて2001年11月に第1 回国際スポーツ脳振盪会議(InternationalConference on Concussion in Sport)がウィーンで開催された.以降,ほぼ4 年に1回の頻度でこの会議は開催されるようになり,その都度,会議からの声明(Consensus Statement)が発表されている.直近では2022年10月に第6回の国際会議がアムステルダムで開催され,同会議の声明が2023年7月に発表された(British Journal of Sports Medicine 57, 2023).毎回,この会議から出される声明はスポーツにおける脳振盪のガイドライン的位置付けとなり,国際的にもインパクトが大きいだけでなく,特にコンタクトスポーツに関わるスポーツ医は是非とも知っておくべき情報である.今回のシンポジウムではアムステルダム会議に参加された先生方を演者としてお迎えし,それぞれの専門分野の立場から同会議での議論の内容も踏まえた発表をお願いした.