2024 年 37 巻 4 号 p. 397-403
日本中毒情報センター(JPIC)の報告によると,65歳以上の高齢者における一般用医薬品の誤飲・誤食のうち外皮用薬が最多である。とくに,誰でも購入可能な乾燥肌のかゆみ止め外用薬を誤食後に重症化した症例が報告されている。
本研究では,34年間にJPICで受信した医療機関からの問い合わせのうち急性中毒症例調査用紙により転帰を確認できた症例のデータをもとに,60歳以上で一般用医薬品の外皮用薬のうち複数の有効成分を含む製品を経口摂取し,入院加療が必要となった症例を検討した。
カンフル,局所麻酔薬,抗ヒスタミン薬のうち2種類以上の成分を含む一般用医薬品の外皮用薬を誤食し転帰が確認できた18例のうち14例で入院治療が必要で,いずれも「市販の乾燥肌のかゆみ止め外用薬」の誤食であった。全例とも認知機能の低下が原因で発生しており,居住内や高齢者施設内などの日常生活のなかでの誤食が多かった。また,90%以上が意識障害をきたしており,8例でGlasgow Coma Scaleが8点以下の重症意識障害を示し,1例は病院前で心肺停止となっていた。そのほかに,1例で呼吸停止,2例でけいれんが出現しており,合計9例で呼吸管理を要していた。単剤と比較して配合剤は,少量でも重症化する可能性が示唆された。これらの結果から,高齢者における「市販の乾燥肌のかゆみ止め外用薬」の誤食は重症化する危険性があるため,予防策を講じることが重要であると考えられた。