日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
外傷性三尖弁閉鎖不全に対して弁形成術を施行した2治験例
廣瀬 友亮阿部 毅寿多林 伸起吉川 義朗早田 義宏山下 慶悟亀田 陽一谷口 繁樹
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2010 年 39 巻 5 号 p. 246-249

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抄録

鈍的胸部外傷による三尖弁閉鎖不全は稀な合併症ではあるが,近年その報告例が散見されるようになった.我々は,弁形成術を行い良好な結果を得た2症例を経験した.症例1:22歳,男性.18歳時に転落事故による全身打撲で救命センターに入院した既往がある.19歳時に大学の検診で心電図異常と心雑音を指摘された.心エコーで高度の三尖弁閉鎖不全が認められたため当科に紹介となった.手術所見では,前尖の亀裂と弁輪拡大が認められたため,弁尖亀裂部の直接縫合と弁輪形成術を施行した.症例2:54歳,男性.18歳時に転落事故の既往がある.31歳時に全身倦怠感と労作時呼吸困難を自覚した.心雑音を指摘され,心エコーで三尖弁閉鎖不全が認められた.54歳時に全身倦怠感が出現したため精査したところ,肝機能障害,うっ血肝が認められ,手術目的で当科に紹介となった.手術所見では,前尖・中隔尖の逸脱と弁輪拡大が認められた.前尖・中隔尖の腱索置換,自由縁の縫合と弁輪形成術を施行した.本邦での外傷性三尖弁閉鎖不全に対する手術報告例についてまとめ考察を加え報告する.

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