日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
腹部大動脈ステントグラフト感染に対してリファンピシン浸漬人工血管で in-situ 再建を施行した1例
青木 雅一神谷 賢一小川 真司馬場 寛大川 育秀
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2011 年 40 巻 3 号 p. 125-129

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抄録

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト留置後6年目にステントグラフト感染を起こした症例に対して,リファンピシン浸漬人工血管を用いて血行再建を行い良好な結果が得られたので報告する.症例は69歳男性,2004年6月に他院で腹部大動脈瘤に対して井上式ステントグラフトを挿入した.2009年6月,不明熱で近医受診,腹部CTにて動脈瘤後壁に膿瘍を認めステントグラフト感染と診断され,手術目的で当院転院となった.手術は腹部正中切開アプローチ,腎動脈下で大動脈遮断して動脈瘤を切開,ステントグラフトを除去し,リファンピシンに浸したGelweaveにてin-situによる血行再建を行った.人工血管全体を大網で被覆・固定して閉腹した.術後16日目に抗生剤を内服に変更し,27日目に独歩で退院した.術後約2カ月で抗生剤の内服を中止し,1年後の現在も感染の再発は認めていない.

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