抄録
症例は46歳男性.リウマチ性疾患・梅毒の既往歴はない.Marfan症候群の診断基準には該当しない.2008年7月頃より労作性呼吸困難が出現した.心エコーにおいて大動脈弁輪径:28 mm,ST-junction径:45 mm,上行大動脈径:50 mmであり,大動脈弁中央よりsevereのARを認めていた.以上の結果から大動脈弁輪拡張症による大動脈弁閉鎖不全症と診断され,手術目的にて当科紹介となった.大動脈弁は無冠尖と右冠尖が癒合した明瞭なrapheを伴う二尖弁であった.SJM社製27 mm Aortic Valved Graftを用いてModified Bentall手術を施行した.経過は良好であり,現在NYHA分類class Iへ改善し,経過している.