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日本心臓血管外科学会雑誌
Vol. 41 (2012) No. 6 p. 304-307

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http://doi.org/10.4326/jjcvs.41.304

症例報告

症例は37歳男性.左冠動脈主幹部完全閉塞による左室広範囲心筋梗塞を発症した後,重症左心不全を併発し,他院で内科的加療を行うもコントロール不能の状態に陥った.そのため,心移植を考慮した左室補助人工心臓(LVAS)植込み術を施行するため当院へ搬送となり,体外設置型左室補助人工心臓(NIPRO-Toyobo LVAS)植込み術が施行された.術直後の経過は良好であったが,術後31日目に右季肋部痛,発熱を認め,精査にて急性胆嚢炎と診断され緊急胆嚢摘出術を行った.NIPRO-Toyobo LVAS装着中のため,ワルファリンにてプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は3.0~4.0と高めにコントロールされており,易出血性であることから,術直前に新鮮凍結血漿を急速投与し,PT-INRを2.0程度へ下げた.また送脱血管が上腹部正中付近で皮膚を貫通していることから,経傍右腹直筋アプローチでの開腹胆嚢摘出術を施行した.術後1日目よりヘパリンによる抗凝固療法を再開し,術後4日目よりワルファリンの内服を開始した.周術期に出血,血栓症,敗血症やグラフト感染等の重大な合併症は認めなかった.体外設置型LVAS植込み術後に開腹手術が必要となった場合でも,適切な抗凝固コントロールとアプローチ方法の選択によって満足できる結果が期待される.

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