2013 年 42 巻 2 号 p. 128-131
感染性腹部大動脈瘤は比較的稀な疾患であり,外科的治療戦略の選択についてはいまだ議論の分かれるところである.菌血症状態下での緊急手術は手術死亡率が高く,まず内科的感染制御が求められる.しかし感染の制御不良例かつ急速に瘤径が拡大する症例では,早期外科治療を行わざるを得ない.その際グラフト感染を考慮すると人工血管使用が躊躇され,凍結保存同種血管(cryopreserved homograft)が選択される場合があるが,in-situ homograft置換症例報告は少数であり,長期成績もいまだ不明な点が多い.今回当施設においてin situ homograft置換後遠隔期に破裂を認めた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.