2013 年 42 巻 3 号 p. 232-235
症例は41歳男性.4日間続く発熱を主訴に受診した.心臓超音波検査で高度び慢性心収縮力低下を認め,急性心筋炎と診断した.入院3日目の心臓超音波検査で,左室内に可動性のある4 cm大の血栓を認めた.左室駆出率(LVEF)が14%であったため経過観察したが,4日目には27%と回復が見られたため5日目に経左室前壁切開で血栓除去を行った.視野は非常に良好で,微小血栓を含め確認し得るすべての血栓を摘除した.術後経過は良好で,手術後6日目LVEFは60%と回復していた.左室内血栓の再発および血栓塞栓症は認めず,術後2年の経過は良好である.われわれの経験を手術時期と術式を中心に文献的考察を含めて報告する.