日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
高安動脈炎による胸部下行大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術にて治療した1例
猪狩 公宏工藤 敏文豊福 崇浩地引 政利井上 芳徳
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2013 年 42 巻 6 号 p. 485-488

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抄録

高安動脈炎による動脈瘤に対する手術治療では,吻合部仮性瘤を高率に形成する傾向がある.今回,われわれは高安動脈炎に発生した胸部下行大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行し,良好な治療経過が得られている1例を経験したので報告する.症例は19歳,女性.11歳時に高安動脈炎と診断され,その際に胸部下行大動脈瘤を指摘されていたが,経過観察のために施行したCT検査にて,胸部下行大動脈瘤は最大短径60 mmと拡大傾向を認めたことよりステントグラフト内挿術を施行した.ステントグラフトはオリジナルZステントを骨格とし,被覆人工血管にthin wall polytetrafluoroethyleneを用いた自作ステントを使用した.これにより動脈瘤は血栓化が得られ,現在術後4年が経過したが,瘤径の縮小が得られ経過観察中である.血管炎に対するステントグラフト内挿術の長期成績はまだ不明であり,今後も長期間の経過観察が必要であるものの,安全にかつ有効に行いうる術式である.

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