日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
傍腎動脈腹部大動脈瘤に対する両側腎動脈チムニー法の1例
相馬 裕介舘林 孝幸野地 智
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2015 年 44 巻 5 号 p. 256-260

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抄録

傍腎動脈腹部大動脈瘤(pararenal AAA)に対するステントグラフト治療では,開窓型ステントや枝付きステントに加えてチムニー法が用いられることがあり,チムニー法に関する文献も散見される.症例は82歳男性.以前に腎動脈下腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術が施行されていたが,pararenal AAAの拡大を認めたため両側腎動脈チムニー法を用いたステントグラフト内挿術を施行した.術後は腎機能障害と急性膵炎を認めたが,術後14日目に軽快退院した.チムニー法に関しての長期的な治療成績の報告はないが,術後良好に経過しているとする報告が多い.チムニー法は開腹手術のハイリスク症例における治療法の一つとして有用であると考えられた.

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