日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
大動脈弁置換術後 pseudoaneurysm of mitral-aortic intervalvular fibrosa の1例
池永 茂伊東 博史阪田 健介
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2015 年 44 巻 6 号 p. 334-337

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抄録

Mitral-aortic intervalvular fibrosa(MAIF)は大動脈弁と僧帽弁の間の線維性骨格である.われわれは大動脈弁置換術後にpseudoaneurysm of MAIF(MAIFPsA)と高度人工弁周囲逆流を来した症例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.重度大動脈弁閉鎖不全症の診断で大動脈弁置換術(SJM Trifecta 23 mm)が施行された3カ月後の定期受診時に聴診上高度な心尖部拡張期雑音が聴取された.心エコー検査では心拡大を伴う高度人工弁周囲逆流およびMAIFPsAが認められ,手術を行った.MAIFは欠損し,僧帽弁前尖弁輪,左冠尖部および無冠尖部大動脈弁輪から成る大きな仮性瘤が形成されていた.左冠尖部大動脈弁輪は薄く,そのバルサルバ洞側には2 cm長の裂隙があり,この裂隙により大動脈と仮性瘤が交通していた.左冠尖部大動脈弁輪を切除し,僧帽弁前尖弁輪,左バルサルバ洞,無冠尖部大動脈弁輪で形成される大きな孔を60×25 mmの舟形ウシ心膜パッチで閉鎖した.その後CEP 21 mmをsupra-annular positionにimplantした.術後感染性心内膜炎に準じて抗生剤治療を行った.現在CRPは陰性化し,人工弁周囲逆流はなく,外来にて抗生剤内服治療継続中である.

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