日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
ステントグラフト内挿術により嚥下障害・嗄声・喘息様症状が改善した胸部大動脈瘤の1例
松永 裕樹三島 秀樹石川 進大島 哲六角 丘
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2017 年 46 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

症例は69歳,女性.嚥下障害,嗄声,咳嗽・喘鳴などの喘息様症状を主訴に近医を受診した.吸入ステロイド薬・長時間作用型β2 刺激薬投与で改善が得られなかった.上部消化管内視鏡検査で食道内壁の外部からの圧排像があり,CT像で胸部下行大動脈瘤がみられたため,当院に紹介となった.胸部大動脈瘤の食道・左気管支への圧排による嚥下障害・呼吸器症状と診断し,早期に胸部大動脈ステントグラフト内挿術を行った.術後経過は良好で,手術後1カ月の時点で嗄声と喘息様発作の著明な改善が得られた.ステントグラフト内挿術により,食道および気管支狭窄症状の両方の改善が得られた症例は本邦ではいまだなく,稀と考えられたので報告する.

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