日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
遅発性胸骨骨髄炎に起因した感染性仮性大動脈瘤の1例
織田 良正片山 雄二古賀 秀剛古賀 清和
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2017 年 46 巻 5 号 p. 260-263

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抄録

遅発性胸骨骨髄炎に起因した感染性仮性大動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は79歳,男性.大動脈弁閉鎖不全症(III°),冠動脈硬化症,洞不全症候群(type 1)に対して,当科で大動脈弁置換術(Aortic Valve Replacement : AVR),冠動脈バイパス術(Coronary Artery Bypass Grafting : CABG),永久ペースメーカー留置術(Permanent Pace Maker Implantation : PPMI)の複合手術を施行し,術後27日目に自宅退院となった.術後50日目に胸骨骨髄炎を発症し,再入院となったが,再入院6日目に聴診にて第2肋間胸骨右縁に新たな収縮期雑音(Levin IV/VI)を認め,経胸壁心エコーでも大動脈基部から左前方へ異常なflowを認めた.造影CTを施行したところ,再入院時のCTでは認めなかった仮性大動脈瘤が上行大動脈に認められた.遅発性胸骨骨髄炎に起因した感染性仮性大動脈瘤と診断し,再入院8日目に仮性動脈瘤切除術,上行大動脈人工血管置換術を施行した.術中所見で仮性大動脈瘤はAVRの際の上行大動脈吻合部から形成されており,瘤の一部は右室流出路に穿破していた.本症例では新たに聴取した心雑音とそれにより施行したベッドサイドでの心エコーが確定診断の契機となった.

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