日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
特発性と考えられた肺動脈瘤の1例
渡邊 達也田村 健太郎平岡 有努都津川 敏範近沢 元太吉鷹 秀範坂口 太一
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2017 年 46 巻 5 号 p. 264-266

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抄録

症例は61歳,男性.徐々に増悪する胸部違和感のため前医を受診し,胸部単純CTで肺動脈瘤を認めたため当院へ紹介受診した.当院で施行した造影CTで経70 mmの肺動脈瘤を認めた.経胸壁および経食道心臓超音波検査では先天性心疾患の合併を認めず,右心カテーテル検査でも肺高血圧症は認めなかった.血液検査では梅毒陽性であったが,明らかな臨床症状は認めていなかった.径70 mmと巨大な肺動脈瘤で胸部症状が出現しており,手術適応と判断し,肺動脈瘤切除人工血管置換術を施行した.切除した肺動脈瘤の病理所見では特異的な炎症細胞浸潤は認めず3層構造の維持された真性瘤であった.先天性心奇形や肺高血圧も認めておらず,病理所見も真性瘤であったため特発性の肺動脈瘤と考えられた.

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